この詩、知っていますか?

2021年7月5日号
リライフアカデミー講師・公認心理師 藤田先生


 
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

こんにちは。今回はオボクリニックカウンセラーの藤田が担当させていただきます。

冒頭で紹介したのは、茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』という詩です。
とても厳しく、刺すような言葉の数々。苦しく感じる方もいらっしゃるかと思います。

それでも紹介したいと思ったのには理由があります。
この詩は1977年、茨木さんが51歳の時に発表されました。
ご主人を亡くして2年後のこと。かつて戦争で生活から芸術や娯楽が消えていった頃、胸の中で思っていたことを詩にしたそうです。
 
誰に向けられたものでもなく、自分自身を叱咤する。そんな思いで詠まれたものだと思います。

友人のせい、家族のせい、環境のせい等々、自分ではないだれかのせいにしたくなることは誰にでも、一度ならずあります。

事実、自分が苦しい状況に置かれたのは、自分のせいではなく周りのせいであるという事も多いでしょう。
 
ここでいう感受性とは何か。
自分の感情や感覚に正直に、自分で考えること。私はそう捉えています。

誰かの、自分にとって苦しくなるような正しさに従うのではなく、「子どもの自分」を軸にして生きること。これこそ、茨木さんの言う、自分の感受性を守ることであり、人として、誰もが持っているべき尊厳なのではないでしょうか。
 
茨木のり子さんのこの詩は、オボクリニックの基本理念である自分関係を大事に生き抜こうとする姿そのもの。

そう思い、この厳しくもあたたかい、勇気をくれる詩をご紹介しました。
この詩が皆様の心の支えになれば幸いです。
 

心理カウンセラー 藤田
 

 
 
 
ご感想ありがとうございます。以下にご紹介します。
*頂いた感想全てを掲載できないことをご了承ください。
 

 
初めまして。
メルマガ登録して4回目のメールマガジンが届きました。
いつも感謝いっぱいの気持ちで拝見しています。ありがとうございます。
実は私、今イギリスに滞在しています。夫の短期赴任にくっついてきてしまいました。
実際は寂しいだけの生活が続いていましたが、いつもこのメルマガで勇気づけられています。
さて、藤田様が教えてくれたこの詩を実に新鮮に受け止められました。
ちょっと涙が出てしまいそうな気分です。
早速、Amazonで「茨木のり子」さんの詩集を注文してしまいました。間接的にここイギリスに送られてくるのでしばらく日数がかかりますが楽しみに拝読したいと思います。
ご紹介ありがとうございました。
先日、於保哲外先生・於保真理子先生のセミナー「現代の病を癒す処方箋」をiTunesでダウンロードしました。
とにかく、今の私に当てはまることばかりで、毎晩のように聴き直しています。
夫も一点を見つめ、じっと黙って聴き入っていました。
私も何度聴いても新鮮な気持ちで聴くことができます。
ここイギリスもコロナの影響で皆疲れていますが、元気を出して頑張っていこうと思います。
いつも楽しみにしています。
ありがとうございました。
 


 
ありがとうございます。
正直、あまり好きではない、というよりは不愉快に感じた詩。
これが私の感覚でした。この感覚こそが私そのものです😊
今はそんな私も大好き🍀😌🍀
 


 
藤田先生、こんにちは。
いつだったか、わたしと深い縁のある叔母が亡くなったとき、色んな感情が一気に溢れだし、吐き出させていただき、ありがとうございました。
あれも人生の1ページ…♪
わたし、最近生き方変えたんです。
自分の感受性を大切に生きて行きます!
心底、自分を分かってもらえる方にも出会えました。
わたし、寝るときは1日の終わり~だから安心の眠りにつきたいんです。
そして、朝をむかえる…
そして、1日を自分の感受性を守りながら生ききって、安心の眠りにつく…
たまに、歌を口ずさみながら、涙しながら
そんな生き方に変えたんです。